
ブリティッシュ・プログレッシブロックの雄、イエスのレビューです。1969年のデビュー以来、メンバーの脱退や復活、新加入を繰り返し現在もなお活躍中の老舗バンドです。感想はすべて筆者の独断です。
邦題は必要があれば表記します。
参考文献 イエスストーリー 形而上学の物語 ティム・モーズ著 河原真理子訳 監修赤石和美
ストレンジデイス2003年11月増刊 イエス
ベスト盤は基本的に割愛。
album review (original album)
Yes/Time And Word /The Yes
Album/Fragile /Close to The Edge/
Tales
Of The Topographic Ocean /Relayer/Going
For The One/
Tormato/Drama/90125/Big Generator/Union/Talk/Keys To Ascention 1&2/
Open Your Eyes/Ladder/Magnification/
Live Album
Solo
Yes (邦題 イエス・ファーストアルバム)
Vo : Jon Anderson
Ba&vo : Chris Squire
Gt&Vo : Peter Banks
Key : Tony Kaye
Dr: Bill Bruford
記念すべきイエスのファーストアルバムで1969年リリース。メンバーは上のとおり。デビューアルバムだけに未完成な部分はあり、一部の評論家には認められたものの商業的にはいまひとつだったようだ。後の「こわれもの」(Fragile)の国内初盤のライナーノーツには「ヴァニラファッジ風のキーボードワークとクロスビー、スティルス&ナッシュ風のハーモニーがくっついたよう」などといわれていたが、確かに1曲目のBeyond And Beforeとかを聞けばそんな感じの印象を受ける。またこのアルバムではI See You(The Byrds),Every Little Thing(The Beatles)といったカバーも二曲収録されているが、ヴァニラファッジの影響を受けた当時の彼らがオリジナルどおりに演奏するわけなどなく、自分たち流の解釈で演奏しているのが聞きどころ。また、Harold Land 、Survivalなどは未完成ながらも後のイエスに通じるような大作主義的な曲作りが成されているのも興味深いところ。
この曲はクリスがイエス以前に在籍していたバンド・メイベル・グリアーズ・トイショップというバンドの曲で、そこのメンバーのクライブ・ベイリーとの共作。ジョン、クリス。ピーターの三人のハーモニーが綺麗なフラワーポップ。初期のライブではよく演奏されていたらしい。
2. I See You (J.McGuinn-D.Crosby)
「Mr Tambourine Man」でおなじみのアメリカのフォークロックバンド、ザ・バーズ(The Byrds)の曲で、Fifth Dimension(霧の5次元)収録の曲。原曲ではロジャー(当初はジムと名乗ってた)・マッギンのサイケデリックな12弦ギターが印象的だったが、こちらはジャジーな感じのアレンジ。ライブではピーターバンクスが長いギターソロを弾きまくっていたそうだ。
3 Yesterday And Today(Anderson)
ジョン・アンダーソンのヴォーカルをフィーチャーした静かなまったりした曲。この曲ではビル・ブラッフォードがヴァイブを演奏している。まあなんというか地味な曲ですね。
4 Looking Around(Anderson/Squire)
このアルバムでは一番ノリのいい曲でクリスも気に入っているらしい。荒削りだけど後のイエスの曲調にも通じるものがある。
5 Harold Land (Anderson/Squire/Bruford)
のちのイエスの大作主義的な曲調の片鱗がうかがえるような起伏の激しい曲。ビルによればハロルド・ランドとはジャズのテナーサックスプレイヤーとのこと。アンダーソンが書いたと思われる歌詞は反戦歌のようだが。
6 Every Little Thing (Lennon/McCartney)
I See You 同様、カヴァーソングでこちらはビートルズの曲。原曲は「Beatles For Sale」収録でシングル「Rock'n Roll Music]のB面にもなった。当時のヴァニラファッジがやってたような原曲を再構築するパターンのカヴァー曲で、Day Trippperのリフなどもさりげなく使われているのがミソ。ビーターバンクス曰く「ゾウの大群のような重厚な」アレンジとのことだが、言いえて妙である。
7 Sweetness(J.Anderson/C.Squire/C.Baily)
Yesterday And Today 同様、ジョン・アンダーソンのヴォーカルをフィーチャーした曲でタイトルが示すとおり、「彼女は雨の日の午後に太陽の光をもたらしてくれるのさ、甘みを一つまみスプーンに入れてかき回すのさ」ってな内容が歌われる甘い曲。
8 Survival (Anderson)
Harold Land同様、未完成ながらも後の大作主義を思わせるドラマチックな曲。作曲者のクレジットはアンダーソン名義になっているが、実際は全員の共作らしい(P・バンクス談)。
Time And Word (時間と言葉)
このアルバムを最後にピーターバンクスはバンドを去る。ピーターが言うにクビを言い渡されたらしいが、現実問題としてこのアルバムを聞く限り、前作に比べて演奏面ではクリス、ビルのリズム隊二人はぐんと成長しているのに対し、ピーターとトニーのプレイはところどころぎこちなさが目立ち、リズム隊の進歩についてこれない印象が強い。特にThen The Prophetあたりにそれは顕著に現れている。おまけにこのアルバムではオーケストラが使われているが,後年の「Maginification」のようなものではなく、むしろトニーとピーターのパートの代替としてプロデューサーが入れた嫌いがある。さらにバンクスのギターは、プロデューサのトニーコルトンに嫌われていたのかどうか定かではないが、ミックスの段階で削られたりレヴェルを下げられたりしており、その辺についてはバンクスもかなり不平を言っている。
1 No Oppotunity,Necessary, No Experience Needed(チャンスも経験もいらない) (R.Havens)
リッチーヘヴンスのカヴァーで、オープニングとエンディング、そして間奏に「大いなる西部」のフレーズが挿入されている。この曲のギターパートはかなり削られているようだ。クリスとビルのリズム隊はかなりカッコイイ。特にクリスのベースラインはルイズルイス加部(ゴールデンカップス)に近いかも。トニー・ケイもパーカッシブなオルガンプレイをがんばって試みているのはわかるけど、この手のプレイならジョン・ロードがやったらかっこいいなと思うのは野暮かな?
2 Then(Anderson)
当時のライブでは頻繁に演奏されていた緩急の大きい曲。ケイとバンクスは明らかにリズム隊についていけてない様子がわかる。
3 Everydays (Stephen Stills)
バッファロースプリングフィールドのカヴァーで、ほぼ原曲どおり。
4 Sweet Dreams(Anderson/David Foster)
アンダーソンが以前在籍していたウォーリアーズのメンバーだったデヴィッド・フォスターとの共作で、ビートルズ風のキャッチーなナンバー。パトリック・モラーツ在籍時のライブでも演奏されていたぐらいだからアンダーソンもお気に入りなんだろう。
5 The Prophet(預言者)(Anderson/Squire)
Then同様、緩急の大きい曲。オープニングはケイのオルガンソロで始まるが、イマイチインパクトに欠けるのが残念。もちろんThen同様、リズム隊はがんばっている。
6 Clear Days(澄み切った日々)( Anderson)
オーケストラのみでメンバーはレコーディングに参加していない(ピアノはトニーケイ?)アンダーソンの完全なソロ。
7 Astral Traveller (星を旅する人)( Anderson)
ピーターバンクスのギターリフではじまる曲でバンクス自身も気に入っているようだ。スティーブ・ハウ加入後のライブでも演奏されたことがある。ケイとバンクスもがんばってはいるが(以下略)。
8 Time And Word (時間と言葉) (Anderson/David Foster)
Sweet Dreams同様、アンダーソンとD・フォスターとの共作で、ビートルズ度の濃いキャッチーな曲。「Hey Jude」あたりを意識した曲かもしれない。この曲のアコースティックギターはフォスターが弾いている。後年のライブでも頻繁に演奏されていることから、アンダーソンもお気に入りのようだが、バンクスはフォスターがアコギを弾いているあたりにかなり不満を持っているらしい。
The Yes Album(サードアルバム)
これまで二枚のアルバムを発表したイエスだったが、一部の評論家の間では評価が高かったもののどれも商業的には失敗だった。アトランティックレコードは彼らの三枚目のアルバムを出すことを渋っていたが、イエスの可能性を信じるアトランティックのフィル・カーソンとネシュウ・アーデガンの後押しによりなんとかアルバムの製作にこぎつけることができたようだ。さらに、金銭的にも苦しかったイエスだったが、脱退したピーター・バンクス(バンクス本人はクビになったといっているが)の後釜として加入したスティーブ・ハウにより大きく変化を遂げようとしていた。ジャズ、カントリー、クラシック、スパニッシュと音楽の視野が広く、かつ高い演奏技術と個性的な作曲能力を持つハウの加入により、イエスの楽曲は以前のものに比べぐんと洗練されたものとなり、イエスは商業的にも音楽的にも成功するにまで至った。このアルバムはメンバーも気に入っているようで、ほとんどの曲はライブでも頻繁に演奏されている。このアルバムを最後にトニーケイは脱退するが、アルバム中ではほとんど影が薄いのが気の毒といえば気の毒かも。ケイの脱退の原因は彼がシンセではなくハモンドオルガンの音にこだわっていたらしいからだそうだ。
1.Yours Is No Disgrace (Yes)
切れのいいハウのギターのイントロに導かれて始まる曲でアンダーソン・ハウ・スクワイアのコーラスとドラマチックな曲調が印象的な近未来を感じさせる長尺曲。ここで使われているムーグシンセのようなフレーズは、ドイツの音楽番組「ミュージックラーデン」に残されたビデオでは、アンダーソンが謎の機械を使って演奏している。ハウのバラエティに富んだギタープレイも印象的。歌詞はアンダーソンによるとベトナム戦争に関係があるものだそうだ。8人イエスによるユニオンツアーではトレバー・ラビンのヘヴィメタルなギターソロとハウのジャジーなギターソロバトルが展開されている。
2. The Clap (Howe)
ハウによるアコースティックギターのインスト。チェットアトキンスの影響大だが、ハウ自ら「ギタリスト泣かせの曲」というぐらいにきちんと弾くのは難しい曲。右手の親指と人差し指でピックを持ち、中指と薬指でフィンガーピッキングをするという変則スリーフィンガー奏法。ハウ在籍次には「Fragile}収録の「Mood For A Day」と並んでライブでは演奏されていた。なおこの曲は70年12月のロンドン・ライシアム公演のライブテイクが使われている。
3. Starship Trooper
a) Life Seeker (Anderson)
b) Disillusion (Squire)
c) Wurm (Howe)
タイトルは某SF映画を思わせるが、これまたイエスを代表する長尺曲のひとつで後年のライブでも頻繁に演奏されていた。ハウお得意のカントリースタイルのアコギをバックに歌われるスクワイア作のDisillusion はバンクス在籍時代からあるFor Everyoneという曲が原型。なおこの曲は初期ライブ音源を集めた「Something's Coming]で聴くことが出来る。ハウ作のWurmはリックウエイクマン加入後はキーボードソロが追加されていた。ライブでハウがジミーペイジが使っているギブソンSGのダブルネックを使って演奏している場合もあった。
4. I've Seen All Good People
a) Your Move(Anderson)
b) All Good People(Squire)
前半はアンダーソン・ハウ・スクワイアのコーラスとアコースティックな曲調で後半は軽快なロックンロール。この曲もいまだにコンサートのラインナップに残っているが、やはり客と一緒に歌えるような親しみやすさも原因だろう。
なおこの曲の前半部でハウはVachaliaなる弦楽器を弾いている。みたところスペインのラウードという楽器に似ているが詳細は不明。前半部のから後半部に入るあたりで「All we are saying is give peace a chance]とジョンレノンの「平和を我等に」(原題 Give Peace a Chance)が引用されている。
5 A Venture(Anderson)
長尺曲の目立つこのアルバムにしては珍しいアンダーソンによる小品。この曲だけは他と違いライブで演奏されることはあまりなかったようだ。
6. Parpetual Change(Anderson/Squire)
エンディングを飾るのはやはり長尺曲。穏やかな感じの曲だが、スクワイアがリズムセクショントリップというほどの複雑なナンバー。間奏ではまったく相容れないリズムを演奏しているが、ライブでもしっかり再現しているあたりは流石。Talkツアーの日本公演ではオープニングにインストとして演奏されていた。この曲でもケイのシンセが隠し味として使われている。